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商業施設新聞
[2005.3.29]
商業記者の独り言
No.42
横浜はとっても不思議空間なのだ
本紙編集局長 泉谷 渉
 横浜という街について考えている。この街は、とても不思議な匂いを放つ街で、ここで生まれ育った筆者がまるで観光客のような目線で捉えてしまうところがある。港があって、海があって、マリンタワーがあって、中華街がある。土曜・日曜ともなれば、東京や埼玉、群馬といった在の方から、この不思議シティ横浜をめがけて大挙観光客が訪れる。

 地勢を知らないということは恐ろしいことだ。夕暮れ迫る山下公園で肩を抱き合い、中華街で素敵なお食事を楽しみ、さてこれからという時に、たいがいのアベックの目は血走る。そうなんです。横浜中心的風致地区にはラブホテルがないんです。「せっかくいい雰囲気になってきたのに」という男たちの哀れともいう呟きが、日曜日の横浜の夕闇の中に吸い込まれていくようだ。

 もちろん、横浜の人たちは石川町駅で降りて、右の方へ行けば元町、中華街、左の方へ行けばおっそろしいラブホテルが林立していることをよく知っている。外人墓地の近くにだって、2軒ほどその手のホテルはあるのだが、森の中に隠れていて見えない。街歩きを楽しみ、中華街、元町でショッピングをし、その上で燃え上がるような横浜の夜を楽しみたいという人たちにマッチングしていないのが現状だ。需要は多いのに供給は少ないのだ。

 街中を歩くアベックを見ていて「ああ、この人たちは横浜の人たちではないな」とすぐにわかる。まずは、ベタベタに手を繋ぎ、不自然なくらいに頬を寄せ合って歩く。中華街の関帝廟を見上げてポカンとしている。でも、手はしっかりと握られている。こうした手合いは、決して横浜の人間ではない。洗練された横浜人はそのような行動はとらない。さりげなく、肩が触れ合う程度に街を歩き、洒落た会話を楽しむ。だいたいが、中華街や元町を歩いている人間の80%以上が田舎の人たちだろう。

 中田市長を筆頭にエキゾッチク横浜を売り込む行政の姿勢が強まってきている。こうした風潮は、井戸ヶ谷、生麦、東神奈川などにあったストリップ劇場をすべて葬り去るに至った。全国でも珍しい大岡川沿いの客引き女たちも一掃されようとしている。横浜に来る観光客によって形成された幻想は、この街の猥雑さをすべて取り去ろうとしている。これを嘆く地元の人は多い。筆者の友人は、「本当の横浜港の美しさは、まったく観光地ではない東神奈川の瑞穂埠頭、金沢の野島、鶴見生麦海岸などに残っているのだ」と主張してやまない。その通りだと思いながら筆者は、今夜も瑞穂埠頭のはずれにあるウォーターフロントのバー「スターダスト」でカンパリソーダを飲んでいる。

中華街の関帝廟でいちゃつくアベック 中華街は実は裏通りが面白いのだ 「ハマトラ」で有名なモトマチのフクゾー
中華街の関帝廟でいちゃつくアベック 中華街は実は裏通りが面白いのだ 「ハマトラ」で有名なモトマチのフクゾー