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商業施設新聞
[2005.11.1]
商業記者の独り言
No.72
販売再開なるか吉野家の牛丼
永松 茂和
 BSEの影響により、米国産牛肉の輸入禁止措置が取られてから、はや2年が経とうとしているが、ようやく輸入再開の可能性が高まってきた。農水省、厚労省から委託を受けた内閣府の食品安全委員会プリオン専門調査会で、米国およびカナダ産牛肉についての答申が出されるとの観測が広がったため。牛肉メニューを主力とする企業の影響は大きく、再開観測が出されてから吉野家D&C、松屋フーズ、ゼンショーの牛丼大手3社の株価は急騰した。

 別に吉野家に特別の思い入れがあるわけではないが、学生時代には並盛りに玉子、味噌汁、お新香のフルコースが値段も手ごろで、ひとつの贅沢であったことが思い出される。

 輸入が禁止されてからの取り組みは3社3様であり、最大手の吉野家は牛丼メニューを取り止め、豚丼にシフト。松屋では中国産、ゼンショーでは豪州産牛肉を使用した牛丼を販売し、窮地を乗り切ろうとした。吉野家が牛丼を販売しなかったのは肉質に対するこだわりからで、以前、品質の低下がひとつの要因となり、倒産したという苦い経験も頭の中にある。今では“豚丼の吉野家”が定着しつつあるのも事実で、豚丼は同社の売り上げの半分以上を占める主力メニューとなり、先ごろは、ごぼうを使わず新しいたれを使用しグレードアップした新豚丼を投入したばかり。米国産牛肉の輸入が再開された場合、すでに牛丼メニューを導入している松屋フーズ、ゼンショーはある意味余裕があり、安全性、原価コスト面をにらみ、米国産牛肉を使用した牛丼を第3の選択肢として慎重に対応する姿勢。一方、吉野家は全量調達ができないため、数量限定などで販売を再開し、徐々に拡大していく方針を固めている。

 吉野家の場合、輸入禁止によるマイナス面が大きかったのは否めない。しかしながら、脱牛丼メニューでのオペレーションを確立できたのも事実であり、これにより、今後は牛丼中心の店舗とメニューミックス店舗の2パターンの展開を可能とし、出店を積極化する。災転じて福となせるか。吉野家の今後の動向が注目される。久しぶりに吉野家の牛丼フルコースが食べたくなってきた。

吉野家の店舗では着々と牛丼販売に向け準備が進む
吉野家の店舗では着々と牛丼販売に向け準備が進む
販売再開が間近に迫った吉野家の牛丼
販売再開が間近に迫った吉野家の牛丼