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商業施設新聞
[2011.7.19]
ユニーク商業人列伝 第303回
イムノエイト(株) 代表取締役社長 谷口郁子氏
シャッター通り商店街に積極展開
新業態で薬局、医療、介護を融合
ケアミックスファーマシーを5年間で20店程度開設
イムノエイト(株) 代表取締役社長 谷口郁子氏 商店街に医療と高齢者介護の拠点をつくるプロジェクトがある。調剤薬局を基点に、病院、福祉施設、子育て支援施設を集めるイムノエイト(株)の「タウンヘルスケアステーション構想」だ。全国各地で衰退にあえぐ商店街の起死回生策となるかもしれない。ぜひお話を、と同社代表取締役社長の谷口郁子氏(=写真)に切り出すと「それが話題になったのは結構、前ですね」とのこと。今は「ケアミックスファーマシー」の開発に邁進しているという。聞けば、先の構想を土台に、そのコンセプトを店舗に集約した新業態だった。谷口社長に事業展開について話を伺った。
―― 商店街の活性化を調剤薬局が担うという「タウンヘルスケアステーション構想」に興味を引かれました。コンセプトについて教えてください。

谷口 毎年、正月2〜3日に「箱根駅伝」はご覧になりますでしょうか。往路で“花の2区”、復路で“最終10区”のスタート地点となる鶴見中継所が横浜市鶴見区にあります。テレビで、当社の調剤薬局「イムノファーマシー」が必ずと言って良いほど映るんですよ。その中継所を挟むようにして、第一京浜の両側に本店と2004年開業の鶴見分店薬局があるんです。この本店は、1989年の創業と同時に開設した1号店です。
 現在では、この本店付近を「ナイチンゲール・ストリート」と名づけています。薬局周辺に7つの診療所があり、内科、消化器科、循環器科、耳鼻咽喉科など計10科が集まっています。当社の事業は、薬局のほか、介護と医療経営コンサルタントが柱ですが、コンサル業を通じて培った人のつながりとノウハウを活かし、99〜06年にかけてクリニックの誘致を進めました。今ではこの地域で、総合診療に近い地域医療体制を築いています。鶴見区で薬局5店を運営していますが、区の人口およそ27万8000人に対し、約12万件の薬剤カルテを扱っています。
 タウンヘルスケアステーション構想は、こうした病院と薬局の連携を、視野を広げて商店街全体の振興へと発展させたものです。最近、商店街の多くが元気をなくしていますが、私は商店街の持つ、高齢者や車椅子、ベビーカー利用者が行動しやすいという長所、店主と客が顔なじみになりやすい特性に注目しています。商店街に病院、薬局、介護施設を集めれば、地域の人々が集まり、交流を通じ活気を取り戻せるのではないかと考えたのです。
箱根駅伝「鶴見中継所」のすぐ近くにある「イムノファーマシー 本店」
箱根駅伝「鶴見中継所」のすぐ近くにある
「イムノファーマシー 本店」
―― 実際の取り組みについて教えてください。

谷口 構想自体は、99年、鶴見駅前店薬局に隣接して居宅介護支援事業所を開設したことをきっかけに生まれました。第1弾は、横浜市鶴見区の鶴見銀座商店街(ベルロードつるみ)での取り組みです。空き店舗を利用して、調剤薬局、介護支援事業所、保育所、病院・クリニックの誘致を試み、地域における介護・福祉と子育て支援のネットワークづくりや、人的交流、まちづくりを目指しました。
 第2弾は、06年、横浜市港北区の妙蓮寺商店街での取り組みでした。「横浜市チャレンジコミュニティビジネス支援事業」により助成を受け、子育て支援を行うNPO法人びーのびーのと連携して、地域交流拠点「妙蓮寺ほっとプラザ」をオープンしました。場所は銭湯の跡地。銭湯が、浴場である以上に地域の人々の交流の場になってきたことを重視しました。S造り2階建ての建屋の1階部分に、当社のデイサービス「ゆーのデイサービス」と、びーのびーのの子育て支援施設「ゆーのびーの」が一緒に入っています。こうすることで異世代のふれあいが生まれ、子どもたちが地域の人たちに見守られて育って欲しいと考えました。この構想は、「第2回かながわ“キラリ”チャレンジャー大賞」を受賞しました。

―― タウンヘルスケアステーション構想をもとに、新プロジェクトに進んでいるとのお話でした。内容についてお聞かせください。

谷口 これまでの構想を地盤として、調剤薬局と介護事業を融合した新業態「ケアミックスファーマシー」の開発を急いでいます。08年に鶴見市場で1号店、11年5月には群馬県みどり市に2号店が完成しました。2号店のみどり店は、当社13店目の調剤薬局と、介護支援事業所「訪問介護ステーションくれよんみどり」を一体化したものです。介護事業を担う(株)くれよんは、旧コムスンから北関東地区の介護事業を継承して09年に設立しました。ドライブスルーに対応しているので、あらかじめ処方箋を預けるかFAXで送っておけば、自動車から降りずに医薬品を受け取ることもできます。
 ケアミックスファーマシーは、タウンヘルスケアステーション構想から切り離されたものではなく、その上にあるもの。この医療・介護拠点を核に、コミュニティを盛り上げていきたいと思っています。これまでは医療と介護福祉、2分野の橋渡し役として地域社会への貢献を目指してきました。新業態では単に橋渡しをするだけでなく、調剤薬局を含めた3分野の融合を図っていくつもりです。

―― 今後の展開についてお聞かせください。

谷口 ケアミックスファーマシーを、今後5年間で20店程度開設します。商店街の活性化も念頭に置き、シャッター通り商店街を中心に出店する予定です。展開エリアは、潜在患者数約10万人に3〜5店を想定しており、1店当たりの売上高3000万〜5000万円を目標にしています。年間売上高の目標は100億円です。
 疾患別ではなく、家族単位でのサービスを提供する調剤薬局が理想。89年に会社を設立して今年で23年目ですが、3年後に迎える25周年を契機に高齢者専用賃貸住宅の運営など新たな事業への挑戦も考えています。
(聞き手 古沢大輔記者)

▼イムノエイト(株)
〒105-0003 東京都港区西新橋1-4-12 ルート西新橋ビル3階 Tel.03-3507-8611
http://www.immuno8.com/
1989年12月1日設立、資本金5000万円、代表者=代表取締役社長 谷口郁子氏